八寸
創業して40年近く経つ日本料理店である。現在は二代目の久保田完二さんがメインでやっており、先代の守さんは夜しか顔を出さない。僕は昼のコースを頂いたので、もちろん全て完二さんの料理である。料理を頂きながら話を伺うと、彼の料理の世界観は素晴らしく、特に素材に対しては妥協を許さないようだ。料理には華やかさはないが、どの料理も味付けが的確で美味しい。特に「鱧の椀」は、葛で覆われた鱧はふっくらしていてダシの風味は限りなく深かった。まるで「京都吉兆」の椀を彷彿させる味わい。今年頂いた椀の中ではピカイチの出来である。また、「鱧の湯洗い」も、京料理の夏の定番・梅肉ダレの「鱧おとし」よりも遙かに鱧の甘みと香りが立ち、鮮烈な美味しさであった。
料理もサービスも基本的に3人の料理人だけで行っているので、料理のビジュアルやサービスを求める方にはお勧めできない。料理だけなら3つ星の超お勧め!にしても良いくらいだが、あまりマスコミに露出しないせいか、満席になることは滅多にないとのことである。入口には6名までの個室と奥には白木のカウンター席がある。ちなみに、この店からは多くの料理人が輩出されており、北海道帯広の2012年ミシュラン北海道版で2つ星を獲得した「八寸」もその一つである。(2012年8月)
東山区祇園末吉町95
電話:075-561-3984
定休日:日曜
営業時間:12時~13時、18時~20時
予算:昼:8000円、10000円、夜:20000円
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。京都四條南座を過ぎた次の信号を左折し、縄手通を進む。「祇園かね松」のある一つ目の小路を右折し、更に次の小路を左折するとすぐ右側。阪急河原町駅より徒歩5分。
最寄りのランドマーク:京都四條南座、祇園かね松
お勧めポイント:料理に派手さはないが、素直に美味しいと思える料理