手打ちそば お福

 帯広郊外の住宅街にある蕎麦店。店内は奥にカウンター席が3席と手前にテーブル席がある。この店の店主は、かつて東京・南長崎の「翁」で一躍名を馳せた蕎麦打ち名人・高橋邦弘さん(現在は広島県の「達磨・雪花山房」にて蕎麦打ちの指導)に指導を受けた方のようだ。彼の教え子の店は道内でも多く、僕が取材したことがある店だけもウィンザーホテルの「達磨(閉店して、現在は旭川「おかだ紅雪庭」の料理長に)」や伊達の「伊達 翁」、札幌の「そば喜香庵」などがある。
 蕎麦は摩周産・蕎麦を使用した細めの二八蕎麦である。冷たい蕎麦は全般的に喉越しが良くお勧めであるが、日によって多少食感にバラツキが感じられ、安定感に欠ける。使用している摩周産蕎麦は、初夏のこの時期の蕎麦にしては甘みや香りを感じさせていい。ワサビは擦りたての本ワサビを使用しており、つけ汁は比較的辛口で良いのだが、出汁の香りや力強さにやや欠ける。僕の一押しは冷たい蕎麦である「鶏とごぼう(冷)」。小振りなゴボウ天麩羅に加え、鶏団子と鶏ササミの天ぷらが入っているが、これら全ての食感や香り、火の通し方共に申し分なく、大根おろしを加えたつけ汁につけて食べると本当に美味しい。
 一方、「鴨せいろそば」の鴨肉とネギは香ばしく焼かれたものが入っているが、鴨に火が入りすぎ、また鴨肉自体に深みがない。「豚せいろそば」は比較的美味しいが、お勧めと言うほどではない。「海老と季節の野菜(冷)」は、野菜はカラッと揚がっていて悪くないが、海老の素材はイマイチなのでお勧めできない。また、温かい蕎麦も冷たい蕎麦と同じ細打ちを使用しているため、どうしても表面が溶け出してベチャッとした感じになってしまうので、やはり冷たい蕎麦がお勧めである。(2014年6月追加)

帯広市西14条南35丁目 野々村ビル1階  
電話番号:0155-47-7029
定休日:月曜
営業時間:11時〜14時45分、17時半〜19時45分(売り切れ次第終了)
予算:ざるそば730円、鶏とごぼう(冷)1250円
アクセス:JR帯広駅から車で10分
最寄りのランドマーク:イトーヨーカドー
お勧めポイント:摩周産の喉越しの良い蕎麦が味わえる