手打ち蕎麦 きむら
小樽の住宅街の中にある蕎麦店。先ずは玄関で靴を脱いで上がる。入り口正面にはガラス張りの蕎麦打ち部屋があり、フローリングの店内を更に奥へ進むと、左側に電動の石臼挽きの機械が見える。禁煙の店内にはテーブル席しかなく、まるで蕎麦屋と言うより一般住宅にいるような雰囲気。メニューを見ると、冷たい蕎麦も温かい蕎麦も各5種類ずつしかなく、この他に「そばがき」とデザートの「そばあいす」がある。
蕎麦は外一(蕎麦粉10:小麦粉1)の細打ちの蕎麦で、通常の挽きぐるみ粉に加えて粗挽きにした挽きぐるみ粉を4割使用しているため、麺の中に粒々が見える。このため、食感はイマイチで決して喉越しが良いとは言えず、好みが分かれるところだ。しかしその分、蕎麦掻きのような蕎麦の香りと甘みを感じる野趣に富んだ蕎麦である。蕎麦粉は北海道黒松内産の奈川在来種と美幌産のキタワセを中心に農家から直接仕入れ、電動石臼と手動石臼で自家製粉しているという。
天種は帯広産ゴボウ入りの野菜かき揚げしかなく、カリッと揚がっていて決して悪くはないが、お勧めと言うほどのものではなく、むしろ、伊達市・大滝産長イモを使用した「とろろせいろ」やフワッとした卵がトロみのある蕎麦つゆに上手く絡む「卵とじせいろ」の方がいい。一方、温かい蕎麦は前述のような挽きぐるみの蕎麦なだけに、表面がネトっりとしてしまい、締まりが無くだらしなく感じてしまう。実は、僕の1番のお勧めはカリッとした蕎麦の実がのった「そばがき」で、このような粗い挽きぐるみの蕎麦粉を使った蕎麦掻きを出す店は、北海道ではこの店だけではないだろうか。蕨餅のようにふっくらネットリとしており、蕎麦の甘さや香りも感じられる。塩とワサビだけで食べて良し、生醤油とワサビで食べても美味しい。
未だ試行錯誤を繰り返しているような発展途上の蕎麦ではあるが、店主は非常に勉強熱心であり、今後を期待させそうな蕎麦屋である。ちなみに、蕎麦つゆは可もなく不可もなしといった感じであるが、蕎麦湯は蕎麦粉を溶かした濃厚なトロみのある蕎麦湯で、つけ汁に入れて飲むとまるで蕎麦のポタージュスープのように美味しい。(2013年12月追加)
小樽市幸3丁目16の8
電話番号:0134-29-0262
定休日:水曜、第1木曜(祝日の場合には翌日)
営業時間:11時半〜15時(売り切れ次第終了)
予算:とろろせいろ900円、そばがき500円
アクセス:JR小樽駅から車で10分(3.1km)
最寄りのランドマーク:幸小学校、幸会館
お勧めポイント:店主の真摯な情熱が伝わってくる小樽の蕎麦店