牧場タカラ

 喜茂別町の人気パン店を取材したときに、この店で使用している牛乳を販売する牧場が近くにあると聞きつけ、帰りに訪れてみた。標識に従って道路から進入すると、ごく普通の牧場の建物が見える。奥の左手の角にショップが見えるが、土日のみの営業で平日はやっていないらしい。たまたま通りかかった牧場のお母さんに聞いてみると、平日はショップ横の建物の青いボタンを押すと対応してくられるらしい。ブザーを押してしばらくすると、工場の中からお姉さんが現れた。実はこの方の弟さんがチーズを作っているらしく、チーズを買うなら土日の品揃えが1番良いらしい。今回は昨年から3回に渡って買うことができたチーズや乳製品を紹介する。
 この牧場の人気ナンバーワン商品はソフトクリームだが、残念ながら5〜9月の期間限定・土日のみの販売となっている。今年も忙しく行けなかったので、来年こそチャレンジして記事を更新するとして、現時点での僕の一押しは低温殺菌のノンホモ牛乳「幸せな牛のミルク」。ほんのりと甘みを感じる風味豊かな牛乳で、生乳臭さを一切感じさせない洗練された味である。これだけ美味しいと言うことは、「ソフトクリーム」も間違いなく美味しいだろうと思わせるような牛乳だ。
 チーズの中では、「ざるチーズ タカラのやっこ」、「ひょうたんチーズ カチョ」、「タカラのレタラ」がお勧めである。「ざるチーズ タカラのやっこ」 は、その名前の通り、ざる豆腐をイメージして作ったというカッテージチーズ風のチーズである。豆腐とモッツアレラチーズ、カッテージチーズを混ぜたような食感で、風味はモッツアレラチーズのよう。まさに牛乳が美味しいからこそ成せるチーズで、アイデア次第ではいろいろな料理に使えそうだ。「ひょうたんチーズ カチョ」は、かなり乾燥させて熟成させた「カチョカヴァッロ」である。香りも良く、焼いて食べれば北海道白糠町「チーズ工房・酪恵舎」の熟成スカモルツアチーズに匹敵する美味しさである。「タカラのレタラ」はヨーグルトの水分を飛ばしたようなトロリとしたフロマージュ・ブランで、言われなければチーズとは思えない美味しさ。これも美味しい牛乳だからこその美味しさ。
 この他にお勧めというほどではなかったが、「マルタとピノ・ノワール」は丸太をイメージした表面が黒いチーズで、ワインを作る時のピノ・ノワールの絞り粕と木炭を使用して作られたチーズ。思ったよりも硬く、山羊のチーズを思わせるような風味と舌触りだ。好みは分かれると思うが、カベルネ・ソーヴィニョンやシラーなどのワインと合わせると結構美味しい。僕的には、もう少し塩分が強くした方が更に良くなると感じられた。「タカラとソガイ」はフレッシュチーズに香草やドライトマト、オリーブオイルなどを加えたペーストチーズで、これは好みが分かれる微妙な美味しさ。「タカラの小さなトム」は、2012年にJAL欧米路線のファーストクラス機内食に採用されたチーズ。味はほぼカマンベールチーズで、それほど突出した美味しさとは思えなかった。「タカラのトケル」は炙って溶かして食べるラクレットチーズで、これも普通に美味しい。
 また、「ミルクジャム」は、ハチミツのように深く複雑な甘さで、パンに付けても美味しいし、チーズと共に頂いても美味しい。ちなみに、フランスのトゥールで開催された2013年の「モンデュアル・デュ・フロマージュ」のチーズコンテストで、この牧場から出品された「タカラの牧場謹製・発酵バター」が、なんと金賞を受賞。この発酵バターは現在も大人気らしく予約制となっている。今年の販売は既に終了しており、来年は5月から生産が再開するとのこと。(2014年10月追加)

北海道虻田郡喜茂別町中里2-5  
電話番号:0136-31-3855
定休日:水曜(但し、ソフトクリームなどを販売するショップは5〜9月の土日のみ営業)
営業時間:10時〜16時
予算:幸せな牛のミルク(大瓶、瓶代110円込み)420円、ひょうたんチーズ カチョ1600円前後、ざるチーズ やっこ900円前後
アクセス:中山峠を下り、喜茂別町から国道230号線を通ってルスツ方面へ向かう。「きのこ王国」を過ぎ、次の信号を「苫小牧、美笛」方面に左折し、276号線沿いを10㎞ほど進むと右にある。
最寄りのランドマーク:喜茂別旧双葉小学校 資料館、双葉簡易郵便局
お勧めポイント:一見すると普通の牧場であるが、販売する乳製品のクオリティが高い