食堂 板屋(ばんや)

 深堀町電停前にある和食店。食堂と名乗りながらも、定食や丼物を出さないカジュアル和食店が昨今増えているが、そのきっかけとなったのは、京都の予約の取れない創作和食店「食堂 おがわ」であろう。同店がブレイクしたのを機に、京都では「食堂 みやざき」などといった類似のカジュアル和食店も増えてきている。「食堂 板屋」は元々「串しや 板屋」として営業していたが、その後現在の「食堂 板屋」へと店名を改めた。現在もなお喫煙可能という残念な点は、その頃から続く名残なのかも知れない。
 店内はL字型のカウンター10席のみの小さな店で、店主は函館国際ホテルの洋食部門の出身。函館国際ホテルのメインダイニングは、洋食と中華が同じ空間で食べられるというユニークさでも知られているが、そのためか、この店のコースは和食を中心とていながらも、春巻きや手羽唐揚げ、焼飯などといった中華風の料理も含めて、和食というジャンルにとらわれない料理を提供している。また、酒もいろいろと置いているが、日本酒は店主が愛する宮城県石巻市の地酒「日高見」がメインとなっている。コースは7000円のコース一択と日替わりのアラカルトメニューである。
 もしも、本格的な和食のコースという概念にこだわらなければ、創作性に富んだ料理はボリュームとコスパに優れ、間違いなく函館でお勧めできる店である。しかし、前述のように、喫煙が可能なことや料理に油ものが多い点、デザート(水菓子)が用意されていない点など、いくつか改善すべき課題もある。ちなみに、もしもその日に店主がカレーを作っていたなら、コースの最後にミニカレーを追加注文することも是非お勧めしたい。(20247月追加)

函館市柏木町35−1 
電話番号:0138-76-4007
定休日:水曜と祝日
営業時間:17時半〜22時半(日曜日は21時半まで)
予算:お任せコース7000円
アクセス:市電の深堀町電停前
最寄りのランドマーク:深堀町電停
お勧めポイント:コスパ抜群な旬のコース料理が味わえる

深堀町電停前にあるココ! 店内はL字型のカウンター10席のみの小さな店飲み物のメニュー 日本酒のレギュラーメニュー。これ以外にもいろいろあるので聞いてみて メニューには載っていないが、この日一番美味しかったのが秋田の「春霞」の金賞受賞酒 アラカルトメニュー1 アラカルトメニュー2 まず出てきたのが「毛蟹の身の味噌がけ・炙り」。ほぐされた毛蟹の身に濃厚な蟹味噌が加わり、さらに炙られることによる香ばしさの重層感が、何とも言えない美味しさとなっている 函館産「活イカの刺身」。身がピンと張っていて、食感、甘さともに最高レベルの美味しさ 奥尻島産バフンウニを使った「ヒラメのウニ巻き」。ヒラメの弾力とバフンウニのトロトロ食感がいい本当は4切れあったが、写真を撮り忘れて2切れとなってしまった「シマアジの薄造り」。脂がのっていてコリコリとした食感も良かったが、養殖特有の臭いがあるので、スダチに加え、新タマネギの醤油漬けと柚子胡椒を巻いていただくと美味しかった柚子胡椒も自家製らしい 地物の「真フグの幽庵焼き」は、食感も含めて普通 「カラスミ入りの生ホタテの春巻き」は、スパイシー塩でいただく。皮は通常の春巻きの皮ではなく、薄焼き玉子を使っているのでサクッと柔らか 「甘鯛のカリフワ揚げ」 鱗付きの皮がパリッとしており、レアな火の通しも良い 「ホワイトアスパラの春菊タルタルソース」 サッパリとした春菊タルタルと茹でたホワイトアスパラというアイデアが素晴らしい。また、キュウリの浅漬けも美味しい 「伊達産 黄金鶏の手羽唐揚げ」は柚子胡椒と共にいただく。そのまま食べてもしっかりとした塩味が付いている。皮目を昆布締めしているらしく、味わい深い。但し、火が入りすぎていて脱水気味 名物らしい「島根県産 穴子のカツサンド」。美味しいが、想像の域を超えていない店一番の名物らしい「地物ピーマンの焼飯」。お椀に使用している濃厚なズワイガニの出汁を使っているので、シンプルながらかなり美味しい。シャキシャキのピーマンとの相性も絶妙。これはお勧め!締めのお椀は「ズワイガニの出汁を使ったすまし汁」。エグイくらい濃厚