函館ラーメン


今や全国的に有名となった「函館ラーメン」は、中細ストレート麺と鶏ガラや豚骨で作られた透明なスープを特徴とする塩ラーメンである。僕が子供の頃には「札幌ラーメン」を看板にしているラーメン専門店はあっても、「函館ラーメン」というブランド名はなく、これを掲げるラーメン専門店もなかった。現在の「函館ラーメン」は、かつて小さな中華料理店や日本蕎麦店などで「塩ラーメン」あるいは「ラーメン」として供されていたラーメンのことであり、当時は「函館ラーメン」などとは呼ばれていなかったのである。子供の頃に食べたいわゆるクラッシックスタイルの「塩ラーメン・函館ラーメン」を出す店は年々減ってきていて、僕の知る限り、「来々軒」や「鳳蘭」、「あじさい」くらいしか残っていないのではないだろうか。  一方、新たに「函館ラーメン」ブランドを掲げて出てきた新規のラーメン店のラーメンは美味しいが、味や具材を含めてどうしても違和感を感じてしまう。微妙ではあるが、どこかしら違うのである。むしろ、日本蕎麦店で食べる塩ラーメンの方が昔の「塩ラーメン・函館ラーメン」の面影を残しているのでは?と思ってしまうのは僕だけだろうか。