手打ち蕎麦のたぐと(喰人)
西野にある大人気の蕎麦店。混み合う土曜日は、開店15分くらい前までに並んでいなければ1回転目には入店できないほど。開店当初に比べると値段が500円ほど上がり、メニューの数が減っただけでなく、定休日や営業時間、順番待ちのシステムなどが変わった。店内は右側にカウンター席、そして左側にはテーブル席、さらに奥には板の間の小上がりがある。天井が高く木材をふんだんに使用した山小屋風の建物は、元はリンゴ倉庫だったものを、大家さんが改築して貸してくれているという。この店の若いご主人は岐阜県の下呂の出身で、大学時代に来札したのがきっかけで、郷里から離れたこの札幌で蕎麦店を開いたという。修業先は更科蕎麦で有名な近くの「やま賀(→ 札幌グルメバイブル・蕎麦の頁を参照)」らしい。
この店のお勧めポイントは、蕎麦と汁が素晴らしいことである。しかし、天ぷらはイマイチで、蕎麦湯も薄く、ワサビも擦った本ワサビではないため、2つ星とした。しかし、それをもってしても、また行きたくなるような素敵な店なのである。まず、創作センスが良い。どの蕎麦もインパクトあって創作性に富んでおり、素材の美味しさをガツンと引き出している。蕎麦は蕎麦の実の芯の部分を使って打つ“更科蕎麦”。冷たい蕎麦用はほぼ二八(小麦2:蕎麦8)で、温かい蕎麦は更に小麦を1割ほど増してコシを失わないようにしているという。このように冷温2種類の蕎麦を打ち分けているだけでなく、冷たいせいろ蕎麦は、2回に分けて半分ずつ出すといった心遣いも嬉しい。つけ汁の辛さ加減も丁度良く、「かれーそば」を除く温かい蕎麦は、関東風の「こいくち」と関西風の「うすくち」の中から選べるといった細かいサービスもいい。
温かい蕎麦なら、「花巻そば」か「かれーそば」がお勧め(本当は「ひなた」が最もお勧めだが、現在はメニューから除外されている)。「花巻そば」は、大きな焼き海苔の上に極薄の花かつおが揺れるという素晴らしいビジュアルで、「こいくち」でなく「うすくち」がいただくのがお勧め。この花かつおが実に香り高く深い味がする。特に、花かつおに由来する鰹節の酸味が汁と絶妙に合うのである。天かすが別に添えられてくるが、シンプルなだけにこれはむしろ入れない方が美味しい。「かれー」はスパイシーさと出汁の奥深さのバランスが良く、名古屋カレーうどんナンバーワンの「清平(→ 名古屋グルメバイブル・カレーうどんの頁を参照)」に近い感じだ。
冷たい蕎麦のお勧め順は、夏季限定の「冷やしぶっかけの花巻(おかかそば)」、「冷やしたぬきつ」、「とりごぼうせいろ」。「冷やしぶっかけの花巻」は花かつおを使った「花巻そば」のぶっかけ蕎麦バージョンで、薬味として梅肉か明太子のいずれかを選択できるが、梅肉の方が美味しい。最初の半分は花かつおと海苔、ネギだけでシンプルに楽しみ、残り半分は刻み梅肉を加えてサッパリといただくと最高である。「冷やしたぬきつ」は、カリカリの桜えびの揚げ玉と甘辛く煮たおあげ、ミョウガ、小ネギがのったぶっかけ蕎麦で、海老の揚げ玉と蕎麦との相性が抜群。これの温かいバージョンもあるが、桜えびの揚げ玉の香りを楽しみたいなら、圧倒的に「冷やしたぬきつ」の方が良い。残った桜えびの揚げ玉は、持ち帰りができるサービスも。「とりごぼうせいろ」は、知床どりに白髪ネギ、三つ葉、しめじなどがタップリと入った温かいつけ汁と、別盛で素揚げのゴボウスライスが出てくる。最初は一味を入れた鶏の温かいつけ汁で、後半はカリカリのゴボウスライスを入れた温かいつけ汁で味わえば、2倍楽しむことが出来る。これらに対し、「鴨せいろ」は大量の白髪ネギや揚げた肉団子、鴨スライスなど具材のバランスが悪く、お勧めできない。(2024年3月更新)
西区西野1条3丁目2−2
電話番号:011-663-6733
定休日:日曜(月の最初と最後の日曜は営業)と毎週月曜
営業時間:10時半〜15時(蕎麦がなくなり次第終了)
予算:花巻そば1232円、かれー1694円、冷やしたぬきつ1584円、とりごぼうせいろ1782円
アクセス:地下鉄東西線・発寒南駅1番出口を出て右へ、新琴似通を「マックスバリュー」の見える山側へ進む。「北央信用組合」、「パチンコ甲子園」を過ぎて手稲左股通を進み,「ゲオ西町店」、「生鮮市場」、「サツドラ」を過ぎるとすぐ右側。発寒南駅から700m
最寄りのランドマーク:パチンコ甲子園、サツドラ西野1条店
お勧めポイント:西区ナンバーワンの人気蕎麦店
駐車場は14台分あります
売り切れになる人気店ゆえに、分かりやすい札のシステムになりました。まずは、店内にある順番待ちリストに名前と人数を記入し、プラスチックの札を持って順番を待つ。プラスチックの札の数がその日の打った蕎麦の量なので、札がなくなると売り切れということになる
青の札は冷やし一人前、白の札が冷やし半人前、赤の札が温かい蕎麦一人前、黄色い札が温かい蕎麦半人前
店内の写真撮影はOK
蕎麦のグランドメニュー。以前と比べると少なくなっています
単品とご飯メニューは増えました
冬の季節の限定メニュー
冷たいせいろ蕎麦(2回に分けて出されるうちの1枚目)
冬季限定の変わり蕎麦「ごまそば」
白い更科と黒い胡麻蕎麦の2層を併せて打っているため、断面はまるで昆布のよう。意外なことに、この方が更科の甘味と胡麻の香りが同時に感じられて良かった。せいろ蕎麦は、半人前ずつ供されるため、1皿目を更科に、2皿目をごまそばにすることもできる
現在はメニューから消えてしまった「ひなた(うすくち)」
のっている大根おろしを溶かすと出汁が水っぽくなってしまうため、先ずはそのままでいただき、少しずつ溶かして食べよう
「えび天せいろ(海老2本と野菜の天ぷら)」
花巻そば(温かい蕎麦)
夏季限定の「冷やしぶっかけの花巻(おかかそば・ぶっかけ明太子バージョン)」
おかかそば(ぶっかけ梅肉バージョン)
冷やしたぬきつ(ぶっかけ)
「ひやしたぬきつ」
ぶっかけ蕎麦です
別皿で追加の桜えびの揚げ玉が付いてきます。残った桜えびの揚げ玉は、持ち帰りもできます
「たぬきつ(温かい蕎麦)」
かれーそば(温かい蕎麦)
とりごぼうせいろ(冷たい蕎麦)
鴨せいろ(冷たい蕎麦)