木山

 マンションの1階にある完全予約制の日本料理店。マンションの1階とは言っても、入口は全く別になっており、和の雰囲気を感じさせる外観となっている。入口を抜けると、手前と奥にテーブル席の個室が1つずつあり、奥の扉を開けるとカウンター席がある。カウンター席は京都らしい雰囲気があって良いが、後ろの空間が狭く、決して快適とは言えない広さである。
 まずは、井戸水を沸かした白湯が出てきた。この店の日本酒は基本純米酒で、プレミアム的なものはあまりない。日本酒の品揃えを見ると、料理を邪魔しない淡麗系のものがメインで、アルコール類が充実していないことが、この店最大の問題点なのかもしれない。今回は昼の訪問であったが、昼の14520円のコースではなく、取材なので、敢えて夜の30250円のコース(入荷食材によっては36300円まで変動)を注文。
 おしるしは、福岡の地酒「天縁」で、かなり淡麗で辛口な日本酒であった。最初の料理「蓮根豆腐」で、スッポンの煮こごりと生姜、ネギ、天草のウニなどが入っている。ネットリした蓮根餅に歯応えのある刻み蓮根が入っており、食感のコントラストに加え、力強いスッポンの出汁と生姜の香りが最高だった。続く「黒アワビの煮物」には、万願寺唐辛子とアラレが入っており、アワビの旨味を最大限に引き出していた。
 ここで、2種類の鰹節(1年ものと2年もの)とマグロ節の3つをその場で削るというパフォーマンスを見せてくれ、削り立てを、先ずはそのまま味見させてくれた。さらに、削り立ての出汁を少し飲ませてくれる。塩が入っていないのにもかかわらず、十分に濃厚な香りと旨味が感じられた。
 料理に戻って、「車海老の冷たい海老出汁·白味噌仕立て」が出てきた。さっとレアな状態に油通しされた車海老に、濃厚な海老出汁と真空調理された桃とイチジクの甘さがアクセントになっていた。そして、先程の3種の削り節で出汁をとった「ハモと賀茂茄子のお椀」が登場。薄塩ながら、旨味が口腔内を覆い尽くし、逆に出汁の味が引き立った。1つ目のお造りは、「フエダイの赤シソソース」。フエダイの身自体はそれほどではなかったが、酸味のある赤シソソースがサッパリとして出汁による旨味もあった。2つ目のお造りは、「マグロの酢飯ペースト」。トロミのあるポン酢のようなソースが、青ネギ、海苔と良く合う。「千葉鴨川の天然鮎」は小振りなので身も骨も柔らかく、酸味が柔らかい蓼酢も美味しかった。「天草の天然牡蠣」は、プルプルしたジュンサイの食感とクリーミーな岩牡蠣の食感が、爽やかなライムの酸味とよく合った。「蛸の柔らか煮と茶豆の天ぷら」は、添えられた揚げバチコ(ナマコの卵巣)やクラゲの胡麻和えなども含めて良かった。炊き合わせの「鰻の白焼きと炊いた冬瓜」は、この日唯一印象のない味であった。そしてフィナーレは、この店の名物の締めご飯である。4種類の中から幾つでも選べ、おかわりもできるのだ。この日のご飯は「玉子餡かけのローストビーフ丼」、「削り立てのかつお節とちりめん山椒の玉子かけごはん」、「ハモ寿司」、「北海道ホタテと岩モズクの雑炊」と目移りするほど。もちろん、僕は全てを少しずついただいたが、「玉子餡かけのローストビーフ丼」と「削り立てのかつお節とちりめん山椒の玉子かけごはん」の2つがお勧めだ。水菓子は「ゼリーと季節のフレッシュフルーツのフルーツポンチ」で、薄茶と茶菓子で終了となった。
 最近京都で食べた店の中では、「富小路 やま岸(→ 京都グルメバイブル·日本料理の頁を参照)」と並ぶお勧め店である。「京都和久傳」の料理長だったという店主はまだ若そうだが、料理センス抜群であり、どの料理も塩加減が絶妙であった。最近、インバウンド客の増加により、2階にも客席を増やしたようだが、予約の際には雰囲気の良い1階を指定した方が良い。ちなみに、混み合う夜は1階が18時と20時スタートの2回転、2階は19時半スタートとなることがあるので、要注意。(202410月更新)
https://kiyama-kyoto.com

中京区絹屋町136 ヴェルドール御所1階  
電話番号:075-256-4460
定休日:不定休
営業時間:1213時、1819時半(1階は18時、2階は19時半の一斉スタート)
予算:【昼】14520円、3025036300円、【夜】3025036300
アクセス:地下鉄烏丸線・丸太町駅7番出口を出て右へ進み、次の交差点を右折して竹屋町通りを進む。右に「竹間公園」を見ながら進み、3つ目の交差点を右折するとすぐ右側にあるマンションの1階。丸太町駅から徒歩6分
最寄りのランドマーク:竹屋町通り、竹間公園
お勧めポイント:料理を美味しい!と思わせる魅せる日本料理店

普通のマンションの1階にあります マンションの1階玄関の左側に進むと・・・ マンションとは思えない和の雰囲気を感じさせる外観となっている入口を抜けると、手前と奥にテーブル席の個室が1つずつあり、奥の扉を開けるとカウンター席がある。カウンター席は京都らしい雰囲気があって良いが、後ろの空間が狭く、決して快適とは言えない広さ まずは、井戸水を沸かした白湯が出てきたおしるしは、福岡の地酒「天縁」で、かなり淡麗で辛口な日本酒 最初の料理は「蓮根豆腐」 葉をどけると、器にはスッポンの煮こごりと生姜、ネギ、天草のウニなどが入っている。ネットリした蓮根餅に歯応えのある刻み蓮根が入っており、食感のコントラストに加え、力強いスッポンの出汁と生姜の香りが最高だった 「黒アワビの煮物」には、万願寺唐辛子とアラレが入っており、アワビの旨味を最大限に引き出していた ここで、2種類のかつお節(1年ものと2年もの)とマグロ節の3つをその場で削るというパフォーマンスを見せてくれた これが削り立てのもの 2種の削り立てのカツオ節と1種のマグロ節を、先ずはそのまま味見する さらに、削り立ての出汁を少し飲ませてくれる。塩が入っていないのにもかかわらず、十分に濃厚な香りと旨味が感じられた 「車海老の冷たい海老出汁・白味噌仕立て」が出てきた。さっとレアな状態に油通しされた車海老に、濃厚な海老出汁と真空調理された桃とイチジクの甘さがアクセントになっていた
先程の3種の削り節で出汁をとった「ハモと賀茂茄子のお椀」が登場。薄塩ながら、旨味が口腔内を覆い尽くし、逆に出汁の味が引き立った 1つ目のお造りは、「フエダイの赤シソソース」。フエダイの身自体はそれほどではなかったが、酸味のある赤シソソースがサッパリとして出汁による旨味もあった 2つ目のお造りは、「マグロの酢飯ペースト」。トロミのあるポン酢のようなソースが、青ネギ、海苔と良く合う 「千葉鴨川の天然鮎」は小振りなので身も骨も柔らかく、酸味が柔らかい蓼酢も美味しかった 「天草の天然牡蠣」は、プルプルしたジュンサイの食感とクリーミーな岩牡蠣の食感が、爽やかなライムの酸味とよく合った 「蛸の柔らか煮と茶豆の天ぷら」は、添えられた揚げバチコ(ナマコの卵巣)やクラゲの胡麻和えなども含めて良かった 炊き合わせの「鰻の白焼きと炊いた冬瓜」は、この日唯一印象のない味であった フィナーレは、この店名物の締めご飯である。4種類の中から幾つでも選べ、おかわりもできる。もちろん、僕は全てを少しずついただいた。最初は「ハモ寿司」 「玉子餡かけのローストビーフ丼」 「北海道ホタテと岩モズクの雑炊」 「削り立てのかつお節とちりめん山椒の玉子かけごはん」 この「削り立てのかつお節とちりめん山椒の玉子かけごはん」と「玉子餡かけのローストビーフ丼」の2つがお勧め 水菓子は「ゼリーと季節のフレッシュフルーツのフルーツポンチ」
茶菓子薄茶