一即夛(いっしょくた)
エレベーターで2階に上がると、左の一番奥に見える小さな店。エレベーターで行くと看板が目立たないが、よく見るとドアの右側にひっそりと看板がある。この店はカウンター席が12席しかないが、奥の席はパーティションで仕切られた対面式テーブルのようになっている。 → 対面できるテーブル席のようになっている。
席につくと、飲み物を聞かれたので生ビールを注文すると、それは「ザ・プレミアム・モルツ」であった。ビアグラスのように小さな銅容器で出されるが、この出し方やビールのチョイスからして、店主の食に対するこだわりが半端でないことが伝わってくる。その後、食べられないものや苦手食材などを聞かれるが、この店にはそもそもメニューというものが存在しない。店主の任せ一本なのである。唯一選択できるのは、メインの魚料理と肉料理、締めの御飯だけなのだ。また、客全員分の同じ素材や同じ料理を用意している訳ではなく、客の好みや食べ具合などによって少しずつ料理を変えて出しているようだ。なので、用意している料理の品数は驚くほど多い。
一口にこの店の素晴らしさを伝えるなら、とにかく厳選された素材とその調理の仕方が際だって優れていること。塩加減や火の通し方はほぼ完璧で、どの品にも店主のセンスを感じさせる。また、店主がほぼ1人で調理しているにもかかわらず、料理がとてもテンポ良く出される点もいい。酒のあてとなる小皿が何品も続き、そしてメインディッシュ、ご飯となる。メインディッシュは魚と肉であるが、これらを完食するとかなりのボリュームがあり、女性客を連れたカップル客を多く見かけるが、まさに体育会系の店である。
この店に来たのならこれら全てを平らげなければ、この店の醍醐味を体験できない。なので、小食な方は量を調整してもらうか(たぶん値段は変わらないかも)、残りを食べてくれるような大食漢の方と一緒に行くべきであろう。魚はその日に仕入れたものの中から「焼き魚」か「煮魚」を選択できるが、「ノドグロの焼き」か「キンキの煮付け」をチョイスするがベスト。そして肉はステーキでなく絶対に「ビーフカツ」を注文してほしい。サクッとした衣とミディアムレアに揚げられたヒレ肉は旨味十分で最高に美味しい。お腹に余裕のある方は、ビーフカツと一緒に別なフライ(もしあれば鯵フライ)も注文してほしい。そして、締めの御飯でこの日僕がチョイスしたのは「トビッコ入り中落ち丼」。マグロの中落ちとトビッコの食感が絶妙で、一緒に出された「岩のりの味噌汁」との相性も抜群だった。また、ある日食べた「ウニの混ぜ御飯」も濃厚で実に美味しかった。
お酒は福井の地酒が1種類の他、焼酎やグラスワインなどもある。気さくに話してくれる店主の人柄も良く、僕が東京に住んでいたら週一くらいのペースで行きつけにしたい店である。コース1人当たりの値段はおよそ1万円強くらいであるが、素材や料理の内容を考えると、その倍を支払っても納得できるくらいの満足感が得られる。なお、店内は禁煙であるのでご注意を。(2014年4月更新)
港区西麻布1-10-16 西麻布ロイヤルビル2階
電話:03-3746-2877
定休日:日曜・祝日
営業時間:18時半〜24時
予算:1万円強
アクセス:東京メトロ(日比谷線)、都営地下鉄(大江戸線)六本木駅2番出口を出て、「明治屋」、「zaboo」を過ぎ、さらに2つめの「ファミリーマート」を過ぎて、「ハレノヒ」の角を右折。「長寿庵」が見える2つめの交差点(T字路は除く)を左折すると、左側に見える白い4階建て飲食店ビル。地下鉄六本木駅から徒歩7分。
最寄りのランドマーク:明治屋
お勧めポイント:美味しいつまみをたくさん食べて最後はボリュームタップリのメインディッシュを頂くという、まさに食いしん坊のパラダイス
パプリカのスープと生ビール
ローストビーフ
空豆の塩ゆで
刺身(平貝、イカ、サヨリ、真鯛
)
生のノレソレ(穴子の幼魚
)
マグロの中落ちと葉ワサビ
活ボタン海老の刺身
カツオの刺身
アジ?の胡麻和え
湯葉豆腐と塩水ウニ
ホタルイカの酢味噌
煮アワビ
豆苗のおひたし
煮染め
新明先生注文の煮魚(黒ムツ、金目鯛)
僕が注文した焼き魚(マナガツオ)
ビーフカツと牡蠣フライ(2名分)
マグロの中落ち丼(トビッコと煎り金胡麻)