フェネトレ

 中標津町の郊外にある夫婦2人でやっている創作フレンチ店。以前は街の中心部にあり、コスパの良さと本格的なフレンチの美味しさでグルメバイブル2つ星を獲得した店である。僕も毎年のように通っているお気に入りの店だが、2020年に現在の地に移転した。現在の店は、国道から入ってすぐの森の中にある。周りには何軒かの住宅もあるが、店は沢沿いの端側にあるので、ロケーションは抜群。ドアを開けて2階へ続く階段を上ると、木の温もりを感じるシックなインテリア。テーブル間隔が広めに取られ、窓から見える緑に癒やされる。
 移転後変更となったことが幾つかある。まず、以前はランチとディナーの両方をやっていたが、移転後は基本ディナータイムのみの営業となり、完全予約制で18時か18時半の定時スタートとなった(日によって、ディナー営業は行わずにランチ営業の日もある)。また、以前は定休日が日曜固定であったが、現在は不定休となったため、予約時には確認が必要だ。さらに、以前はランチコースが1200円、ディナーコースが3500円と5000円とコスパ抜群であったが、現在は13200円の1コースだけとなってしまった。しかしそれに伴って、現金支払いのみからVISA、MASTER、AMEX、DINERS、JCBなどといった主要なカードが使えるようになった。確かに、メニューを絞ることで食材ロスがなくなり、その分高価な食材を仕入れることができるようになったり、完全予約にしてスタート時間を決めることで、シェフが客に料理を提供する時間を予測しながら料理を作れるなど、食べる方・作る方・両方にとってメリットがある。レストランの席に座って外を眺め、料理を食べていると、なるほど、これが松村シェフがやりたかったレストランなんだという思いが伝わってきた。 移転後何度か訪れているが、ほとんど食べているだけでろくすっぽ写真も撮っていなかったので、不完全ながら、写真データが残っている昨年6月に訪れた時のコースメニューを紹介したい。最初の1品目は「根室産赤ツブのロワイアル 葉ワサビのソース」。いわゆるツブ貝を使ったフランス風の茶碗蒸しのことで、ソースはサッパリと薄味で、ほんのり苦味がある。これはほぼ和食であろう。2品目は「野付産クリガニのパスタ」。北海道産小麦を使った自家製の太打ち麺で、パスタは柔らかめの茹であがり。蟹の香りを纏ったクリームソースは、濃厚かつ甘めながら美味しい。3品目は「サクラマスの酢締めと八朔 ウドのシャーベット」。八朔を添えることでサッパリと味が締まっていて良いが、塩味が弱いためにサクラマスの旨味を引き出せていなかった。4品目は「ホタテとウドの新芽のかき揚げ」だが、写真を撮り忘れた。記憶が確かなら、ホタテの卵巣パウダーがかかっていて、この日初めて塩味がドンピシャだった一品。5品目は「サフォーク羊のモロッコ煮込み」。トマトベースのスパイス煮込みで、クミンが香る。6品目は「江丹別のブルーチーズとグリーンアスパラのリゾット」。ブルーチーズの塩味が、アスパラの甘さを引き立てていた。7品目は「羅臼産アンコウのコンフィ ホワイトアスパラ添え」。コンフィなので柔らかいのかと思っていたら、身に弾力があってとても美味しかった。メインディッシュの「中標津産黒豚のロースト」だが、これも食べることに夢中で写真を撮り忘れてしまった。豚の皮がカリッと焼かれていて、八丁味噌と黒ニンニクのソースが、意外にも和でなくフレンチソースに昇華していた。締めのデザートは「生姜の香りのクレームブリュレ」と「日向夏の皮のソルベ ブロマージュブラシのソルベ」で、その後の小菓子と飲み物で終了となった。出てきた素材の中には松村シェフが自ら採ってきたものもあり、シェフの素材に対するこだわりが感じられた。
 全体的に、料理は地元素材をそのまま生かすような以前よりもシンプルな創作フレンチに変貌を遂げた。結果的にかなり和食に近くなり、フレンチなのか?イタリアンなのか?和食なのか?と一瞬考えてしまうことも。総合的にみると、以前に比べてプラス点よりもマイナス点の方が多くなったような気がする。1つ星に下げようかとも考えてみたが、使用している地元素材の素晴らしさや道東らしいロケーションなど、店の完成度としては以前よりも高くなっていることを考慮し、最終的に2つ星のまま据え置いた。(2021年〜2022年6月取材/2023年5月更新)

https://fenetre-nakashibetsu.com
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中標津町緑町南1丁目2-29
電話番号:0153-72-3775(夫婦二人でやっているので、営業時間中は繋がりにくい)
定休日:不定休
営業時間:入店時間18時あるいは18時半
予算:お任せコース13200円(2名より、サービス料5%)
アクセス:中標津中心部からタクシーで5分くらい
最寄りのランドマーク:中標津標茶線と国道272の合流点
お勧めポイント:森の中に佇む素敵な創作フレンチ店

現在の店は、国道から入ってすぐの森の中にある。周りには何軒かの住宅もあるが、店は沢沿いの端側にあるので、ロケーションは抜群 ドアを開けて2階へ続く階段を上ると・・・ 木の温もりを感じるシックなインテリア。テーブル間隔が広めに取られ・・・ 窓から見える緑に癒やされる(ここはレストランから駐車場へ続く道で、夜にはライトアップされる) 最初の1品目は「根室産赤ツブのロワイアル 葉ワサビのソース」 いわゆるツブ貝を使ったフランス風の茶碗蒸しのことで、ソースはサッパリと薄味で、ほんのり苦味がある。これはほぼ和食である 2品目は「野付産クリガニのパスタ」。クリガニは東北から北海道にかけてとれるカニで、毛蟹(正式名称:オオクリガニ)よりも一回り小さい同じ仲間 北海道産小麦を使った自家製の太打ち麺で、パスタは柔らかめの茹であがり。蟹の香りを纏ったクリームソースは、濃厚かつ甘めながら美味しい 焼きたてのパンは、皮がカリッとしていて美味しい 3品目は「サクラマスの酢締めと八朔 ウドのシャーベット」 八朔を添えることでサッパリと味が締まっていて良いが、塩味が弱いためにサクラマスの旨味を引き出せていなかった 4品目は「ホタテとウドの新芽のかき揚げ」だが、写真を撮り忘れた。記憶が確かなら、ホタテの卵巣パウダーがかかっていて、この日初めて塩味がドンピシャだった一品。写真は5品目で「サフォーク羊のモロッコ煮込み」 トマトベースのスパイス煮込みで、クミンが香る 6品目は「江丹別のブルーチーズとグリーンアスパラのリゾット」 ブルーチーズの塩味が、アスパラの甘さを引き立てていた 7品目は「羅臼産アンコウのコンフィ ホワイトアスパラ添え」 コンフィなので柔らかいのかと思っていたら、身に弾力があってとても美味しかった メインディッシュの「中標津産黒豚のロースト」だが、これも食べることに夢中で写真を撮り忘れてしまった。豚の皮がカリッと焼かれていて、八丁味噌と黒ニンニクのソースは、意外にも和でなくフレンチソースに昇華していた。写真は締めのデザート「生姜の香りのクレームブリュレ」と「日向夏の皮のソルベ ブロマージュブラシのソルベ」 「日向夏の皮のソルベ ブロマージュブラシのソルベ」 「生姜の香りのクレームブリュレ」 その後は小菓子と飲み物(コーヒーをチョイス)で終了となった