春香楼 広小路店

 細い小路の奥にある隠れ家的な中華料理店。もともとは広い通りに面していたが、一昨年にアーケードになった広小路に移転してきた。取材した昨年2月は暖房が脆弱だったせいもあって、店の足元が少し肌寒く感じられた。
 移転後の店は、以前の様なオープンキッチンではなくなった。照明が少し落とされ、飲食店としては珍しいグレーの壁紙を使用している。ダウンライトを効果的に使った落ち着いた印象で、入口手前側にカウンター席、そして奥にテーブル席がある。このカフェバー的な雰囲気やグラスワインに力を入れていることなどから考えて、中華ダイニングバー的な使い方をする客層を狙っているのかもしれない。
 以前は温かいアラカルト料理中心であったが、移転後は冷菜を多く使った3つのコース料理のみに。料理は少量多皿構成となっていて、盛り付ける器がずいぶんとオシャレになった。どの料理にも、店主のこだわりと理想が見て取れる。さらに、料理のスタイルが大幅に変わり、これが中華料理なの?というくらい、エスニック料理と言うか、和食にも近い感じとなった。これがシェフのやりたかった中華なの?と、旧店舗の王道料理を知る者とって、シェフの目指す方向性に戸惑いを憶えることも。また、ボリュームも含めて、地元帯広の方がこの中華を理解できるのかどうかも疑問だ。僕的には、ボリュームやデザートを含めて、様々な面で物足りなさを感じるが、地方都市の店としては十分1つ星に値する料理である。さらに、グラスワインも、値段の割には良かったことも付け加えておく。
 ちなみに、住宅街に「春香楼 中央店」なる店もあるが、全く料理は別物なので間違われないよう注意していただきたい。(2020年2月取材)

帯広市西一条南9丁目3-3   地図
電話番号:0155-20-3560
定休日:日曜
営業時間:18時〜22時
予算:3000円、5000円、8000円のコースのみ
アクセス: JR帯広駅北口を出て、藤丸デパートを目指して駅前通を進む。藤丸デパート手前の信号を右折してアーケード街(広小路)を進むと右側にある。JR帯広駅から徒歩5分
最寄りのランドマーク:藤丸デパート
お勧めポイント:地方都市では珍しいヌーベルシノワ

どこにある?(現在は、右の「伊谷呉服店」は解体されてありません) この奥の明るいところです ココです! 新店舗はオープンキッチンではなくなった キッチン前にあるカウンター席 ボトルワインのメニュー。ワインが飲める中華料理店になった? コースは3つだけ この日のグラスワイン この日の8000円のコースは、「ブリの山ワサビのせ」からのスタート 「鳥レバーのコンフィ・行者ニンニクソース」。塩加減といいレアな火の通しといい、行者ニンニクソースとの相性もピッタリ。ビールにも赤ワインにも最高! 「蒸し鶏と赤大根のニラのソース」 意外にもクセがなく、赤大根のシャキシャキとした食感との組み合わせもいい「店主こだわりのチャーシュー」 ソースに胡麻油の風味を感じる。低温調理なのか?見事な火の入り方で、ローストビーフのようにジューシー 「鮑とウルイの自家製カラスミ和え」 茹でた柔らかな鮑に白髪葱のシャキシャキ感。鮑を上回るカラスミの強いクセのある香りを是とするかどうかは、意見が分かれるところ 「フカヒレの煮込み」。味付けは少し甘めだが、牡蠣油を使用していないので、スープの旨味がストレートに伝わってくる。但し、乾物から戻していないのか?フカヒレ自体の旨味は感じられない 「ハーブ牛の十穀米蒸し」 十穀米蒸し自体は、中華ちまきのようで良かったが、肝心の牛肉が脱水し過ぎていて全てを台無しにしていた 「中華風海老のリゾット」 シンプルな塩味なので、海老の豊かな風味を感じる。それにしても、どの料理も塩味がドンピシャで、お見事!プラス300円の「杏仁豆腐」。杏仁豆腐というより、クリーミーなジャスミンジャム入りエスプーマをのせてジャスミンの香りを加えた杏仁豆腐で、杏仁自体があまり香らないのが残念

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