いはら田

 飲食店が少ない京都西エリアにある小さな日本料理店。店内に入ると1階がカウンター席になっており、2階には20名まで対応可能な座敷がある。カウンター内での調理は、店主ともう1人の料理人の2人で行っている。この店は開店して11年目を迎えたらしいが、店主は未だ若く、20代でこの店を開店したという。なので、逆に長く修行した料理人が陥りがちな既成概念にとらわれない斬新な料理を作る。
 例えば、「ブリの幽庵焼き」はブリのアラで取ったスープをかけ、さらにそのスープでギリギリまで含め煮た白菜を添えて味わうなど、料理は料理人の持つ感性(センス)あるいは芸術性であることを感じさせる料理である。どの料理も食感にコントラストがあり、味には重層感がある。思わず何の味だろう?とイマジネーションをかき立てられる。通常、味の組み合わせが複雑になればなるほど、素材の良さが逆に打ち消しされてしまい、意図の分からないちぐはぐな料理となることが多いが、この店の料理は見事なハーモニーを奏でている。
 特に、15000円以上のコースでは、二カ月熟成したドライエイジングビーフの炭火焼きがコースに加わるのでお勧めである。ちなみに、この日の肉は丹波牛のヒレ肉。ワサビ、フライドガーリック、湯布院・無量塔(むらた)の粒マスタードなどの薬味が添えられてきたが、肉が素晴らしいだけに、そのまま食べるか、摺りたての本わさびだけを載せて食べるのがベストである。最後の季節のご飯(この日はフグ)の米の水分不足と口直しのアイスクリームのザラザラ感が少し気になったが、それ以外の料理はどれも完璧に近く素晴らしいものだった。(2014年1月追加)

下京区西7条比輪田町26  
電話番号:075-314-8899
定休日:日曜
営業時間:18時~22時
予算:コース8000円、10000円、12000円、15000円、18000円
アクセス:JR京都駅中央口からタクシーで1000円前後、ライフ西七条店の並び、西大路通沿い
最寄りのランドマーク:ライフ西七条店
お勧めポイント:店主のセンスを感じる素晴らしい料理