HANA吉兆
2010年に店舗をリニューアルし、店名も「花吉兆」から「HANA吉兆」に変わった。以前はエントランスだけだった1階には、和紙作家・堀木エリ子デザインによる6席のカウンター席ができ、一人飯の方でもゆったりと食事を楽しめるようになった。また、大人数を収容した広い2階のカジュアルなテーブル席はなくなり、2階は日本間の個室に、3階と5階はテーブル席の個室となり、階上はプライバシーを配慮した個室だけの空間に生まれ変わった。料理の方は相変わらず食器の使い方にメリハリがあり、所々にガラスの容器を使うなど料理を美しく見せる演出が施されている。どの料理も塩味や甘さが的確で、以前と比べて特に大きな変化は感じられない。但し、今回訪問したときの「鱧とジュンサイのお椀」は、以前と比べると出汁が薄めで、「お刺身」の鯛の切り方もどこかしら吉兆らしくなかった。しかし、他の料理は季節のご飯(この日は牛蒡のご飯)に至るまでどれも美味しく、給仕する方のサービスも良く、吉兆ならではのゆったりとした素敵な時間を過ごすことができた。
リニューアル後は単品メニューにも力を入れるようになり、量が多くてコースで少ししか食べられない方やお酒を飲んで軽く食べたいという人向けに、大阪割烹的な使い方も出来るようになった。単品メニューの中にはコースではあり得ない「親子丼」といったメニューもある。次回来たときには、是非あたらしい個室で、単品のアラカルトメニューか高めのコース料理に挑戦してみたい。
ちなみに、吉兆本店は京都だと思っている方が多いが、吉兆を一代で築きあげた天才・湯木貞一がいた吉兆本店は大阪の高麗橋にある(ちなみに、大阪・本吉兆の高麗橋本店と東京吉兆の築地本店は一見さんお断りらしい)。後に湯木の子供たちが、大阪・本および船場、東京、京都、神戸の5つの吉兆に別れ、それぞれ独立した株式会社を作って地域毎に経営するようになって現在に至る。これだけ多店舗形式に展開していながら、料理のレベルが高く保たれている店は類を見ないように思う。(2012年7月改訂)。
東山区大和大路四条下る
電話:075-531-1500
定休日:無休
営業時間:11時半~14時、17時~20時
予算:弁当:月6930円、雪9240円、会席料理:11550円、17325円、20790円(前日までの予約で28875円と34650円のコースも頂ける)
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。京都四條南座を過ぎた角を右折すると、1階が黒っぽいビルがあるのでそこ。阪急河原町駅より徒歩5分。
最寄りのランドマーク:京都四條南座
お勧めポイント:嵐山本店を除けば、京都吉兆系の中では中心的な料理店