伊藤商店

 客がボタンを押して開け閉めする仙山線のワンマン列車に乗り、仙台駅から山形方面へと向かう。山間を抜けると、約25分で「陸前落合駅」に到着。駅舎も駅周辺もまだ目新しく、どうやらこの辺りは仙台郊外の新興住宅街のようである。ロータリーを抜けて駅前通りを進むと、マンションの1階に店舗が見える。朝7時から午後3時まで営業しているようだが、これは福島・喜多方市のラーメン店で見かける営業パターンである。レジの横には「会津若松ラーメンマップ」が置かれていたり、「ソースかつ丼」などがあったりする。さらに、ラーメン自体も喜多方ラーメンにかなり類似しており、この店のラーメンは恐らく“福島ラーメン”であると勝手に推測。
 店内に入ると左側にL字型のカウンター席が、そして右側にテーブル席がある。混んでいるときには、まず入り口で人数と名字を書かなければならない。ラーメンは基本2種類あり、「金の中華そば」とそれに背脂をトッピングした「白の中華そば」である。この他にチャーシューメンに当たる「肉そば(+200円)」と海老ワンタンをトッピングした「えびわんたんそば(+200円)」も。
 「金の中華そば」は、スープの色は喜多方ラーメンと同様、醤油ラーメンと言っても色が淡く、まるで塩ラーメンのよう。チャーシューやスープに「とちぎ ゆめポーク」というブランド豚を使用しており、それに昆布を含む魚介や野菜の旨味が加わることで最高のスープに仕上がっている。このスープに背脂が加わった「白の中華そば」は、スープが優しい味なだけに、背脂入りとは思えないくらいサッパリとしている。それに海老ワンタンがトッピングされた「白のえびわんたんそば」は、海老ワンタンにゴマ油が香ってとても美味しいが、皮の大きさに比べて餡の量が少なすぎてバランスが悪くお勧めできない。
 この店の麺は北関東から福島にかけて多く見受けられる太めの縮れ平麺で、コシはそれ程ではないもののモチモチとしている。太い平麺は苦手という方には、限定25食で中細の縮れ麺も用意されているが、食感が悪くお勧めではない。「金の中華そば」のネギは通常のネギであるが「白の中華そば」には更に玉葱が加わる。特に、トロトロのバラ肉のチャーシューが秀逸で、「白の肉そば」が僕のこの店の一押しである。この他、脇役であるシナチクやホウレン草などの具材も全て美味しく、例えて言うなら、「白の中華そば」は秋葉原にある 「中華そば専門店 田中そば店(→ 銀座グルメバイブル・ラーメンの頁を参照)」 にかなり近いかも知れない。また、朝限定メニューである肉抜きの素ラーメン「朝ラ~」は、何とワンコインの500円で味わえる。もしも、ラーメンファン自認するなら、仙台に来たときには是非味わって頂きたい「朝ラー」である。(2013年12月更新)

青葉区落合1-18-10 クラフトワン1階  
電話番号:022-391-5253
定休日:水曜(祝日の場合には営業、翌日が休み)
営業時間:7時から15時
予算:金の中華そば650円、白の中華そば700円
アクセス:仙山線JR陸前落合駅を出て南口へ。ロータリーを通り、駅前通りを進むとすぐ左側に見えるマンションの1階(パチンコ店・メルヘンワールドの向かい側)。JR陸前落合駅から徒歩3分。
最寄りのランドマーク:メルヘンワールド
お勧めポイント:朝から食べられる極上の福島ラーメン