レフェルヴェソンス
L’Effervescence
建物をリニューアルして以来の初めて訪問である。オープン当時と比べると、外国語を話せるスタッフが増え、サービスもかなり充実した。席数に対するスタッフの数は、銀座の「ロオジエ L’OSIER(→ 銀座グルメバイブル・フレンチの頁を参照)」に匹敵するのではないか?と思える充実ぶりである。店内は、地下に調理場と個室があり、そして1階にボックス席を備え たメインダイニングがある。ボトルワインの品揃えは若いビンテージがほとんどで、老舗の「ロオジエ L’OSIER」には遠く及ばないものの、グラスワインは比較的充実しており、日本のワインを置いている点もいい。
生江 (なまえ)シェフは、オープン当時と変わらず、現在も料理長としてこの店を指揮を執っているようだが、久々に訪れてみると、銀座グルメバイブル2012に掲載していた頃とは全く別な店になってしまったような気がする。もしかすると、ミシュランガイドで2つ星を獲得 し、外国人客が多く押し寄せるようになったことが、その原因なのかもしれない。
以前に比べると、とにかく何事にも「和」のイメージを強調するようになったのである。 基本的な建物の造りは変わらないが、インテリアの色を明るい白から「侘び寂び」のシックな茶色へと変え、それとシンクロさせるかのように、生江シェフの料理も「ミッシェル・ブラス」系のモダンフレンチから、糀や酒粕などといった発酵調味料を駆使し、日本料理のエッセンスを取り入れたフュージョンフレンチへと変化を遂げたのである。さらに、以前と比較すると、よりサプライズ感を打ち出した料理になった。コースの最初に出てくる日本料理のような「おしるし(コースが始まる時の酒)」や、テーブルサイドで全員分ではなく、わざわざ1杯分だけの薄茶を点てるというパフォーマンスは、 果たしてフランス料理のコースに必要なのだろうか。外国人客受けすることは間違いないだろうが、本格的フレンチを求めて食べに来る本来の客にとっては、複雑な思いがする。今回、星を1つ下げた理由はまさにこの点にある。外国人客用に日本らしい和のスペシャルメニューがあっても良いと思うが、レギュラーメニューは別にして欲しいものだ。(2017年3月追加)
http://www.leffervescence.jp
港区西麻布2-26-4
電話:03-5766-9500
定休日:日曜、月曜
営業時間:12時〜13時半、18時〜20時半
予算:【ランチ】10000円、【ディナー】20000円
アクセス:東京メトロ(日比谷線)、都営地下鉄(大江戸線)六本木駅2番出口を出て西麻布方面へ進み、「明治屋」、「zaboo」を過ぎ、西麻布交差点の信号を「三菱東京UFJ銀行」側に渡る。直進してしばらく進むと「FUJI FILM」のビルが見えるので、その信号の三叉路をビルの裏通りへ右折する。進むとお寺の山門に突き当たるので、道なりに右折。再び突き当たるので、その手前右側の小綺麗な建物。東京メトロ六本木駅から徒歩13分。
最寄りのランドマーク:FUJI FILMビル
お勧めポイント:和を感じさせるフュージョンフレンチ
このビルの1階と地下1階にあります
エントランス
囲炉裏のイメージ?ウェイティングルーム
メインダイニング。客がいるので撮れなかったが、反対側は一面茶色の土壁となっている
コースは昼、夜とも1コースのみの少量多皿料理。メニューには今流行の具体的な料理名が書いていない、素材だけ表示メニュー
まず、日本料理のように「おしるし(コースが始まる時の日本酒)」が出てきた
1品目の突き出しは普通の「オリーブ」。2品目の「厳冬の候〜ぼたんえび、ビーツ、みかん、にごり酒」は撮り忘れたようだ
3品目「アップルパイのように(このパターンで26バージョン目だそうです)あん肝、柿、菊芋」
「回想〜オリヴィエ・ローランジェへのオマージュ かます、カボチャと切り干しニンジン、ライムのヴィネグレット、海王のエピス」
「定点〜蕪とパセリ、キントアハム、ブリオッシュ」
「雪見〜のどぐろの乳清ポシェ、根セロリ、オリーブオイル」
「寒さとともに〜毛蟹とさつまいものスープ、鱈の白子と猪のキャラメル、塩漬けレモン」
「おばあちゃんの味〜小さな茶碗蒸し、しじみとシャンピニオンのコンソメ、おろし立て山葵」
「囲炉裏の暖〜天然網取り真鴨を薪でグリルしたもの、ソース・アバ、ホタテと焼き海苔のジュ、椎茸、縮みほうれん草」
「西と東と〜チーズたち、あるいは野菜たち」。つまり、国産のチーズか野菜サラダをチョイスできます。国産チーズはイマイチだった
デザートは「溶け合う〜熟成栗と山ぶどうのモンブラン、ブルーチーズのメレンゲ、ラム酒のアイスクリーム」
「一座建立〜酒粕のリ・オ・レ、さるなし(日本の野生キウイであるコクワのこと)、酒粕アイス」
ミニャルディーズ(小菓子)
テーブルサイドで全員分の薄茶を点てるのかと思ったら、一人分だけで、他の人数分は調理場から出てきた