安久(あんきゅう)
宮川町のマンションの1階にある日本料理店。実はこの店、ミシュランで2つ星を獲得したことで話題となった店である。店内は非常に狭く、カウンター席が僅か6席しかない小さな店である。最近話題となっている京都の日本料理店の店主は30~40代の方が目立つが、この店の店主・上田さんもまだ30代という若さである。カウンター内には若手の見習の方がもう1人おり、奥さんがサービスを担当している。
料理は素材の旨味を引き出すようなシンプルな料理。そのため、素材にはとことんこだわっているようだ。日本酒は純米酒が6〜7種類あるが大吟醸は置いていない。また、この店は 「前田(→ 京都グルメバイブル・日本料理店の頁を参照)」 や 「啐啄 つか本(→ 京都グルメバイブル・日本料理店の頁を参照)」 と同様、写真撮影は禁止なので、今回も料理のことは文章でお伝えしたい。
まず、最初のスタートは小さな椀に入った「梅干しとワサビの吸い物」。梅干しの酸味とワサビの辛みが食欲を刺激するため、最初のイントロとしてピッタリ。2品目の「煮穴子とキュウリの胡麻酢かけ」は、濃厚な胡麻の香りが酢でサッパリとまとめられており、トロトロの煮穴子とシャキシャキのキュウリのコントラストも良かった。3品目は京都名物の「鯖寿司」。意外にもオーソドックスな鯖寿司ではなく、軍艦巻きのように海苔で巻かれ、忍ばせてあるガリが良いアクセントとなっていた。4品目は「松茸とスッポンの椀もの」で、香りを出すためなのか?松茸が細かく千切りにされており、これがスッポンや生姜の香りに負けないくらい存在感があった。5品目と6品目はいずれもお造り。幻と言われる「白甘鯛」は湯引きされた皮付きのもので、身は脂がのっていて、まるで五島や玄界灘のアラのようだった。「シビマグロ(クロマグロの幼魚)」はハラミのトロの部分を炙ったもので、皮目が香ばしくサクッ、トロッとした食感。7品目は「琵琶湖産・天然鰻の白焼き」。関西風なので蒸す作業を行っておらず、身がプリッと厚くて香ばしい。また、活け締めにして血抜きをし、さらにヌメリを取る作業をとことん行っているため、全く泥臭さを感じない。8品目の「ノドグロと蕪の炊合わせ」は、蕪の甘みとノドグロの脂の旨味が最高。9品目は「牛ヒレ肉のステーキ」で、こちらは想像通りの美味しさ。10品目は3つのご飯から選択できる。僕は迷わずこの店の名物「鮭ご飯」をチョイス。これはご飯の上に香ばしく焼かれた鮭の身をのせたもので、東京の 「京味(→ 銀座グルメバイブル・和食の頁を参照)」 にインスパイアされたものかも。「京味」はキングサーモンをしているそうだが、こちらは国産・銀ザケのハラミと背の身を使用しているという。
店主の上田さんはとてもフランクで、トークが軽妙。なので、1人客でも飽きさせず、常に場が和む。ちなみに、6席しかない小さな店なので、早めの予約は必須である。(2014年10月追加)
東山区宮川筋3-283
電話番号:075-531-5999
定休日:日曜(要相談)
営業時間:18時〜22時
予算:お任せで2万円ぐらい
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。鴨川を渡り、「京都四條南座」の信号を右折して川端通を進む。「焼肉の名門・天壇」を過ぎてしばらく進むと、ラブホテル「ホテルと、いうわけで」と「ホテルRei」が見えるので、その並び角のマンション。阪急河原町駅より徒歩10分。
最寄りのランドマーク:京都四條南座、川端通、ホテルと、いうわけで、ホテルRei
お勧めポイント:ミシュラン2つ星を獲得した注目の若手料理人の店