美かさ
東の天ぷらの「美かさ」と西の串カツの 「あーぽん(→ 神戸グルメバイブル・串カツの頁を参照)」 は、僕が考える日本一の揚げもの店である。靴を脱いで上がると、正面には見事な生け花が印象的な待合室が、左側には8名のカウンター席がある。実はこの店、17時半と19時半の2回の入れ替え制。しかも、全ての客が同時スタートなので、必ず予約の上、スタートの5分~10分前には入店して待っていなければならない。このため、カウンター席の右側にはこの様に立派な掘りごたつのウェイティングルームがあるのである。店内はとても清潔感があって、しかも床暖房なので冬も快適。また、カウンターのテーブルは白木でなく朱塗りであるが、このスタイルは馬車道にある「天濱」と同じ。もしかすると、神奈川の天ぷら店ではこれが普通なのであろうか?
この店のコースは、8000円の天ぷらだけのコースと刺身が付く8800円のコースの2つ。どの天ぷらも外がサクサクで中がレアでシュージー。それは才巻き海老(小さい車エビ)を食べた時のアルデンテのようなレアな食感で実感できる。店主が食べ方をそれぞれ指定してくるので、その通りに食べると最高のパフォーマンスが味わえる。素材がかなり厳選されているだけではなく、素材の旨味を引き出す店主のスキルが凄いのである。例えば「牡蠣の天ぷら」であるが、大根おろしをのせ、スダチを搾り、更に塩を載せて食べる。驚くべきことに、これがすこぶる美味しい牡蠣の食べ方なのである。また、春の「白魚の天ぷら」は何本かまとめて筏状に揚げられるが、その中心部のレア感が半端でない。「キス」は開かずに揚げるため、そのフンワリ感はあり得ないくらい素晴らしい。「ウニの大葉包み」はトロリとして口に表せないほど美味しい。さらに、最後の締めには「天茶」か「天丼」を選べるが、天茶がお勧めである。
店主は朝の6時から夕方5時までという長時間仕込みに時間を費やすほどストイックで、九州産活穴子を揚げる直前に捌くなどのこだわりも。しかし、一見気むずかしそうに見える店主も、これが意外にフレンドリーで話しやすい。それにしても、東京ではありえないくらいコストパフォーマンスが抜群で素晴らしい店である。また、「デザート天ぷら」に至るまで実に満足度の高い店で、日曜日に営業している点も良い。(2013年5月追加)
川崎市宮前区宮崎2-9-15
電話番号:044-853-1819
定休日:水曜
営業時間:17時半~と19時半~の入れ替え制
予算:8000円(天ぷらのみのコース)、8800円(通常のコースに刺身が付く)
アクセス:東急田園都市線・宮崎台駅北口を出て左へ。坂を上り、「MURATA」を右折。突き当たりのT字路を左折するとすぐ左にある「東進衛星予備校」が入っているマンション。
最寄りのランドマーク:MURATA、東進衛星予備校
お勧めポイント:日本一の天ぷらが食べられる