いし豆
真狩村にある人気の蕎麦店。札幌から喜茂別経由で向かうと、湧き水の水汲み場の少し手前にある。一軒家の店内はウッディな明るい作りで、柱時計の音やジャズ音色が静かに鳴り響く。左側にはテーブル席が2つと、右側にカウンター6席があるのみで、外観から想像できないくらい狭めだ。ご夫婦でやっているのか?女将さんが給仕を、声しか聞こえないが店主が厨房を担当しているようだ。
この店の蕎麦を見ると麺に粒々が見え、小樽の 「手打ち蕎麦 きむら(→ その他北海道の旨い店・道央の頁を参照)」 とかなり似た挽きぐるみ蕎麦である。メニューを見ると、「手打ち蕎麦 きむら」と同じ黒松内町の落合さんの作る“奈川在来種”を使用しているところをみると、両店はどこかで繋がっているのかもしれない。さらに詳しく説明を読むと、“奈川在来種”の他に、美幌町の武田さんの作る“キタワセ”や他の無農薬国内産蕎麦もブレンドしているらしい。食べログ上では細めの蕎麦との記載もあるが、実際は細切りよりも若干太めだ。「手打ち蕎麦 きむら」のようなざらついた食感はあまり感じられないが、「もりそば」よりも「とろろそば」で食べた方が滑らかさが増して美味しく感じられ、1番のお勧めである。また、つけ汁はグレードの高い本枯れ節を使っているか?鰹節が心地良く香り、しかも濃厚で素晴らしい。これに対し、汁が温かい蕎麦は、せいろの「とりごぼう」を含めて、汁が甘く感じられてお勧めできない。「蕎麦がき」はさらに香りを出すためなのか、表面を炙ったような焼き目がついている。箸でつかむとモッチリ、ネットリとした感じが伝わってくる。口に含むと蕎麦の甘さが、後から蕎麦の香りが広がる。この店よりさらに粗い挽きぐるみを使った「手打ち蕎麦 きむら」の蕎麦掻きに勝るとも劣らぬ素晴らしい蕎麦掻きであり、これも是非味わって頂きたい逸品である。また、客足が少なくなる冬季間には「カレーそば」と「そばがきぜんざい」がメニューに加わる。
この店の蕎麦は決して洗練された手打ち蕎麦とは言えないが、逆に“田舎蕎麦”のような蕎麦本来の持つ野趣あふれる香りや甘みを引き出し、堪能させてくれる。しかも、無農薬の国産蕎麦にこだわったり、薬味に本わさびを使用したり、蕎麦湯は蕎麦粉を溶かしたドロッと濃厚なものにするなど、地方の蕎麦屋とは思えないほど良心的。札幌にあれば2つ星くらいの評価となるだろうが、地方でこのレベルの蕎麦を出していることを高く評価したい。ちなみに,雪のない春〜秋の季節には常に行列ができて落ち着いて食べられるような雰囲気ではないが、雪のある季節は土日でもかなり空いていているので、行くなら冬に行くべき。(2014年2月追加)
真狩村字杜206-8
電話番号:0136-45-3691
定休日:【4月〜11月】木曜と第1水曜、【12月〜3月】水曜と木曜
営業時間:11時半〜15時
予算:とろろそば980円、蕎麦がき600円
アクセス:札幌から喜茂別経由でニセコ方面(道の駅・ニセコビュープラザ)へ向かう。真狩村の中心部を少し過ぎると、右側にある一部がエンジ色の建物が見える(真狩の湧き水・水汲み場の少し手前)。
最寄りのランドマーク:66号線沿い
お勧めポイント:蕎麦の醍醐味が味わえる真狩村の名店